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どの英単語帳が良いかについて(受験生応援記事)

※長くて読めない人は、色の塗ったところを中心に読むといいですよ。

まず大前提として言っておきたいのは、ここで話しているのは「スタローンとジャン・クロード・バンダムはどっちが強い?」という話なので、「単語帳の優劣」<「個人の努力量」であることは付言しておきたい。

何故か。
単語数の面で言えば大学受験レベルの英単語帳であれば、どの英単語帳でもほぼ同じ知識量を担保できるからである。
現状殆ど全ての単語帳は大学入試のデータベースから頻出の単語を採り上げている。
故に大学受験で頻出でない英単語を収録している英単語帳というのは基本的にない。
つまり、「どの英単語帳の単語が入試でよく出てくるか」という観点では、どの単語帳でも充分と言えるし、どの単語帳でも不充分と言える。
だから個人の努力量の方が結果を決める割合が大きい。

とはいえ、「英単語帳に正解はないので自分に合ったものを選ぶのが一番」と言いたいのではない。
世には「自分に合ったものが1番」と謳い、品の質の上下を論じず比較から目を背ける「人それぞれ」論者が一定数いるが、「人それぞれ」という免罪符で比較を放棄するのは、良し悪しの判断基準が分からない人間が使う逃げ口上に過ぎない。

単語収録数という観点ではどれでも合格であっても、他の判断基準で英単語帳の良し悪しを見ることは当然できる。

そのため、大学受験歴10年・英語指導歴15年の筆者が英単語帳を選ぶ際の基準について語る。
良く巷で言われる、「チャンクで書かれている」、「例文型である」、「頻出語型である」といったぺらい些末な違いではなく、もっと本質的な違いを軸に話していきたい。


英単語帳が備えるべき要素は以下である。

・英単語と日本語の情報(発音・スペル・意味・チャンク・熟語など)が過不足なく揃っている。
・覚えた英単語や日本語訳をその単語帳でそのまま記憶チェックが出来る手軽さ・インスタントさ。
・記憶が定着しやすいような配慮・工夫。

これらの要素を1冊で完結できることが重要だ。
英単語暗記の最終目標は英単語と日本語訳の情報がリンクしている状態だからである。


ここで2つ目の、「・覚えた英単語や日本語訳をその単語帳でそのまま記憶チェックが出来る手軽さ・インスタントさ。」については簡単に解説しておく。
これは英単語の暗記法の話が関係する。

単語の覚え方で最も効率的な方法は、その都度チェックテストをする方式である。
一方、昔から推奨される「何十回も書いて体に覚え込ませるやり方」は、時代遅れ・非効率の極みであるので絶対にやってはならない。
これは現代の認知心理学の研究成果においても、何十回も日本語を書く・何十回も英単語を書く方式の暗記スタイルは、チェックテスト方式よりも記憶の定着効率が劣るということが明確に判明している

暗記方法に関しては紙幅が狭すぎるので、これくらいで(要望が多い場合載せます)。


ともかく、上記のような事情で、単語を覚えるためにはその都度チェックテストをするという方式が最も効率的である。


ここまでを前提として、以下の様な特徴がある単語帳は避けるのが良いというのを下記に列挙しておく。

良くある形として、見開きで左ページ英単語と和訳、右ページ例文と訳文のレイアウトの単語帳をイメージして、それぞれ本屋で確認してみて欲しい。


<以下駄目な英単語帳の特徴(下記の特徴が1つでもあったらダメ)>

①赤シートの意味がないのに赤シートを入れている。
②気軽にチェックテストができない。
③英語の欄に日本語・日本語の欄に英語の派生語が混ざってしまっている。



それぞれ細かく説明していこう。

①赤シートの意味がないのに赤シートを入れている。
派生語は黒字で英単語や和訳は赤字になっている単語帳が良くあるが、あれは赤シートの意味がない。
赤シートで隠して日本語訳をチェックしても、日本語訳の周りに似た訳語が書いてあるので日本語訳の類推が出来てしまうのでチェックつてストの意味を成せない。

仮に赤シート問題をクリアしている単語帳があるとしよう。
次の問題が出てくる

②気軽にチェックテストができない。
赤シートが使えない場合、日本語訳を片手で隠して英語を見て日本語訳を答えるというチェック形式でやることになる。
そうするとどうなるか。
使っている人は分かると思うが、右ページの例文と和訳が目に入ってしまうのだ。
これもセオリーだが知らない人も多いので言っておくと、チェックテストをするとき解答が目に映る範囲内に置いておいてはいけないのだ。
自分では見ていないつもりでも無意識下で目に入ってるおり、無意識で解答を脳が認識してしまう。
つまり無意識的にカンニングをしていることになるのだ。
それではチェックテストにならない。
だから見開きページの右側も隠さねばならず、そうすると片手では隠し切れない。
両手や裏紙で隠す必要性が出てくるので、そうすると結局単語帳を机においてチェックテストをやらねばいけなくなる。
繰り返すが、チェックテストは気軽にインスタントにできなくてはいけないので、上記状況になる単語帳はダメだ。

③英語の欄に日本語・日本語の欄に英語の派生語が混ざってしまっている。
これも上記と同様である。
英単語の項目に日本語訳が書いてあるのはチェックテストさえできないため論外として、問題は日本語訳欄に英単語の派生語が書かれている場合である。
赤シートが使えない問題は当然として日→英が出来ない問題が出てくる。

これを指摘すると何人かが「塾や予備校で、英単語は英→日が出来れば十分だから日→英はいらないって聞いたけど!」と必ず言ってくる。

これも実際英単語帳を使って暗記をしてみると分かると思うが、英→日の単語テストを何回繰り返しても、英→日だけでは英単語と日本語のリンクが薄いため、いざという時に出てこないものなのだ。

出てくる単語を一通り覚えようとすれば、英→日を何周も繰り返すだけでは不十分であり、日→英もやらざるを得なくなる日が来るものなのだ。
というか英→日を何十周繰り返しても、いざ模試やテストになると日本語訳が全く出てこないという壁にぶつかるので、それを打開するため自ずから日→英をやる様になる。

そんな時に、日本語訳欄に英単語の派生語が入っていると、①と同じく類推が出来てしまうのでチェックテストにならないのだ。
チェックテストの効率が非常に下がるので(というかできなくなるので)、日本語訳の欄に英単語が混ざっていては決していけない。

なお、ここで英単語と日本語訳を使うのではなく、例文で英単語と日本語を覚えればよいという人も出てくると思うが、日→英をする上で基本は英単語と日本語訳のリンクなのだ。
それを付加的に覚える役割で例文が使えるのであって、例文のみで覚えるのは未知の単語や表現が出過ぎのでナンセンスである。
※これはあくまで短文だけを使って英単語を身に着ける方法が良くないと言っている訳であって、長文を使用してその中に出てくる英単語を覚えるというやり方がいけないというのでは全くないので誤解なきよう。


さて、上記の特徴を再度リストアップしてみるとあることに気づく。
・赤シートの意味がないのに赤シートを入れている。
・気軽にテストができない。
・英語の欄に日本語・日本語の欄に英語の派生語が混ざってしまっている。

お気づきの方も多いかもしれないが、英単語帳で一番重要なものを一言でまとめるとレイアウトである。
ここで、大分最初の方で話した英単語帳の備えるべき項目の3つ目:「記憶が定着しやすいような配慮・工夫。」が出てくる。
英単語が定着しやすい様な配慮がないレイアウトの英単語帳は、記憶効率が悪いから基本的には選ぶべきではない。

要は、メジャーどころは大体駄目だ。


英単語暗記でもう一つ注意点を上げておく。
単語帳を一冊をマスターしたからといって、英単語の対策は万全ではないのだ。
英単語帳はあくまで頻出を備えた最低限の備えに過ぎない。

上述した様に、あくまで英単語帳は大学受験で頻出の英単語だけを集めたものなのだから、頻出でなくても出てくる英単語は山の様にある。

英単語帳を1冊ある程度完璧にできたらやるべきことが次にある。
それは、志望校や志望校と同レベル帯の過去問を早々に行い、解答確認時に不足英単語を補っていくことだ(特にこれは早慶だと必須)。

この過去問演習で未知の英単語を推測する力も同時につける。
当然だが、未知の単語を推測しながら過去問を解いていき、その後英単語を覚えていくので、英単語帳で覚えていた頃よりも定着できる英単語数が落ちる。(調べて覚えていくので)
そのため、英単語帳を1冊終えた後の過去問演習での英単語暗記は期間を要するのだ。
最低3ヶ月、出来れば6か月は過去問演習に当てる必要がある。
そうとても時間がかかる。
英単語帳は早めに取り組んだ方が良いと言われる由縁はこれだ。


英単語帳の良し悪しの判断基準は概ねお判りいただけただろうか?
気になる人は、自分の英単語帳が基準に満たしているか見てみるといいだろう。

ダメな英単語帳の実例を挙げることは野暮なので敢えてしなかったが、一方で「結局はどの単語帳がお薦めなんだよ!」という文句も聞こえてきそうなので、これを買えば後悔はないというものを1つ具体例として挙げておく。
今現在、英単語帳を使っているが、中々暗記がはかどらない人はこちらを使った方が効率的に記憶ができるだろう。
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<おすすめの英単語帳>

メジャーではないが、市販の大学受験用の英単語帳の中では断トツに信頼のおける名著である。
上述のダメ英単語帳の特徴のハードルを乗り越えており、且つ定着しやすい工夫もなされている。
1本の例文の中に、1つの英単語だけでなくこれまで見た単語も目にすることができるという初頭性効果と忘却曲線を考慮した作りになっている点が優れモノだ。
これ1冊完全に覚えても、長文で未知の単語が5割り以上ある人は基礎が足りていないので、もう1冊の快速英単語高校必修編をやる必要がある。
大学生や社会人でやり直し英語をしたい人にもお勧めできる1冊だ。

<余談>

英語の中でも英単語の暗記というのは地味で単調な本当につまらない作業だ。
本当に時間と手間がかかる。
下手すると単語勉強だけで受験が終わってしまうかもという危惧さえ出てくるだろう。
少しでも単語暗記の時間を短縮することが受験の成功のカギだ。

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