ふるさと納税制度が2008年に開始してから16年の歳月が経つ。
ふるさと納税について語る前に、そもそもふるさと納税についての仕組みと意義を簡単にまとめておく。
仕組み:私は専門家ではないので、仕組みに関しては国からの情報ソースを参照されたし。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/procedure.html
ここでは例を使って簡単に説明したい。
例:年収400万A市在住者Xさんは、本来住民税約40万の1/10程度である4万円程度をB市に寄付することで、B市から返礼品がもらえる。
Xさんは翌年の住民税から40万から35万80千円になる。
次にふるさと納税の意義である。
こちらも下記をを参照して欲しい。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/policy/
上記URLの内容を私なりの解釈で下記にまとめた。
①納税者が寄附先を選択することで税に対する意識が高まり、納税について考えるきっかけになる。
②住民票を置いてある地域以外にも自らの税金を使って支援ができる。
③ふるさと納税の寄付呼びかけで自治体間の競争が進むことで、各自治体が歳入増加をするための自助努力が促進される。
これらを踏まえた上で話を進めていく。
ふるさと納税は導入当初はあまり人気が無かったのだが、歳月が経つにつれて人気は徐々に高まっていった。
だがそれに伴いアンチふるさと納税論者も多く生まれてきた。
昨今ではアンチふるさと納税論者の主張を目にすることが良くある。
代表的な例で言えば、小池百合子東京都知事が先日行った東京都の通例記者会見で
「受益と負担という地方税の原則をゆがめている」
「返礼品競争になっていて『寄付の精神を根づかせたい』というところからかけ離れて、官製通販のような制度になっている」
「引き続き都内の区市町村とも連携しながら、根本からきっちり見直す必要がある…」
という旨を話していたり、
ふるさと納税により住民税の今年度の減収が100億を超えたと話題になった世田谷区では
「このままだと減収額が累積すると3年間で300数十億、5年すると600億になる可能性がある」
「区の新規事業や、学校校舎の改築などのインフラの更新が影響を受けないわけがない」
という旨を世田谷区長が話をしている。
上記の様な
「本来の地方自治体に使われるはずの予算が他自治体に流出しているため本来予算が組めなくなっている」、
「ふるさと納税による地方税が流出した地方自治体は、予算が足りなくなり生活インフラに予算を割けずに日常生活にいずれ支障をきたす」
との論調でふるさと納税を批判する論者達は多いが、実は彼らは大いなる勘違いをしている。
ふるさと納税を一度でもしたことのある人なら一発で分かるのだが、ふるさと納税批判者の批判自体はそもそも全くの的外れなのだ。
恐らくだがふるさと納税批判論者は、ふるさと納税を一切経験したことがない「ふるさと納税エアプ」なのではないか。
実態を分かっていないのに制度の表面上のみを見て批判をするため、主張が全くの的外れになっている。
今回は、そんな「洞窟の中で影絵」を見て大騒ぎをしている、ふるさと納税エアプ達に対してふるさと納税批判が如何に実態とかけ離れているかを懇切丁寧に説いていきたい。
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まず彼らの主張を纏めてみると以下に整理できる。
①'「返礼品競争になって本来の趣旨とは離れている」
②'「減収額が増大することで、地方自治体のインフラが整備できなくなる」
③'「受益者負担という地方税の原則に適っていない」
以下順にエアプぶりを解き明かしていこう。
ふるさと納税批判者の主張①':「返礼品競争になって本来の趣旨とは離れている」について。
ふるさと納税は「税制を通じて地方経済へ貢献する仕組み」として作られた制度であり、簡単に言えば地方自治体の予算獲得手段の一部に市場原理を導入したものである。
住民の多寡や街の発展度で自治体の歳入が決まるのではなく、地方自治体による工夫次第で歳入の増益を見込める新しい予算獲得手段なのだ。
ふるさと納税批判論者の唱える「現状は『返礼品競争』になっている」というのは、正に市場原理を導入した結果であり、本来のふるさと納税の、
①「納税者が寄附先を選択することで税に対する意識が高まり、納税について考えるきっかけになる」、
②「住民票を置いてある地域以外にも自らの税金を使って支援ができる。」、
③「ふるさと納税の寄付呼びかけで自治体間の競争が進むことで、各自治体が歳入増加をするための自助努力が促進される。」
という趣旨に全くもって適っているのだ。
だから地方自治体がまずやるべきことは、国により新しく導入された予算獲得手段のルールに則ってふるさと納税の獲得を目指すことなのだ。
もしもふるさと納税で本来税収分が流出している自治体があれば、その自治体は「工夫」して流出した分以上の税収を、他自治体在住民からふるさと納税寄付金として集めるということが、本来の市場原理下での正当な身の処し方なのだ。
「工夫」とはどうするのか。
それは自らの頭を使って自治体のふるさと納税返礼品をより魅力的なものにして、それをアピール・宣伝するということだ。
ふるさと納税により税収が減っている地方自治体は、まずふるさと納税の影響で税収が減っているということがどういうことなのかをよくよく認識しなければならない。
ふるさと納税で税収が減っているということは、当該地方自治体は他の地方自治体よりも「魅力がない」ということだ。
魅力がないから税収が下がるのだから、税収を上げるには自らの魅力を挙げていくしかないのだ。
にもかからずそのような努力を十分にもせずに、自らの分が悪いからと言う理由だけで国によりルール付けされた正当な競争そのものを無効化しようとする姿勢は全くもって見苦しいと言わざるを得ない。
自分が市場原理に敗れた側であるからからといって、悪し様にふるさと納税を批判をする姿はまさしく負け犬の遠吠えである。
ふるさと納税批判者の主張②:「減収額が増大することで、地方自治体のインフラが整備できなくなる」について。
これは実際的なデメリットに対する文句であろう。
以下これについて考えていく。
ふるさと納税批判論者は、ふるさと納税により地方自治体の税収がどんどんなくなると主張している。
まるでふるさと納税を行えば行うほど本来納入すべき地方自治体への税収が減っていくかのような論調で話を進めている。
実はこれこそが全くの的外れであり、ふるさと納税批判論者がエアプたる由縁である。
実は市民がふるさと納税で寄付として認められる金額には上述した様に住民税の1/10という限度があり、故にふるさと納税で削られる地方自治体の税収にも限度があるのだ。
市民の住民税の9/10は普通に今住んでいる(住民票のある)自治体に徴収されるのだ。
そう、ふるさと納税で地方自治体の税収が無限に削られるわけではない。
そもそも地方自治体の歳入に占める住民税の割合は平均約6割をである。
ふるさと納税の影響がどれだけ大きくなっても、仮に当該地方自治体に在住しているすべての住民がふるさと納税を行い別の自治体に住民税の一部を寄付していも、減収する分は徴収住民税の1/10でしかないのだ。
無限にふるさと納税できないのだから、流出する分も無限に減るわけではない。
具体的に言うとどんなに多くても歳入の6%が流出するに過ぎない。
更にほとんどの自治体では、実はふるさと納税による減収分は75%が国から補填されるのだ。
つまりそれも鑑みると、減収する額はMAXで地方自治体の本来の歳入の約1.5%である。
要は、減収が最大でも歳入の約1.5%にしか満たないにもかかわらず、基盤インフラが維持できないとか、新規事業が行えないと言い出しているのだ。
だがこれを言うと、
「地方交付税の「交付団体」は、ふるさと納税減収分の75%を国が補填する仕組みがあるけど、地方交付税の「不交付団体」は、流出した減収分の国の補填はないのだ」
と地方交付税交付金の対象外自治体や賢しらなアンチふるさと納税批判論者は口を揃えて反駁を試みる。
これについても考えてみよう。
さて、彼らの言う「地方交付税の『不交付団体』は、流出した減収分の国の補填はない」とは一体どういうことかを確認していきたい。
「地方交付税の『不交付団体』」とは何かというと、当の地方自治体が告白している様に地方交付税交付金の対象外自治体である。
地方交付税交付金の対象外自治体とはつまり、地方交付税を交付する必要のない位財政が大きく黒字ないしは潤っている自治体のことだ。
つまり、ふるさと納税の減収があっても他の地方公共団体よりもはるかにダメージを負わない自治体のみが、ふるさと納税の減収に対する補填がないのである。
地方交付税交付金を受け取る必要がない程に財政に余裕のある地方自治体が、なぜ税収の一部である住民税がなぜ約6%減収しただけで、本来のインフラ整備が出来なくなるのだ。
なお、折角なので実際に世田谷区の歳入と住民税の金額を見てみよう。
令和5年の世田谷区の歳入 :約3900億円
令和5年の世田谷区の徴収住民税:約1300億円
お判りいただけただろうか?
世田谷区は100億抜けて1300億なのである。
さっくりと本来徴収分の住民税が1400億円だとして、MAX140億円がふるさと納税で消えると考えても、消えた分は世田谷区の歳入の約3%である。
この状態で世田谷区は「インフラの更新が影響を受けないわけがない」と言っているのだ。
※ちなみに世田谷区はふるさと納税で100億円流出したにもかかわらず、住民税の徴収額は前年度比で約30億円増となっている笑止千万な話があるのだが、これは今回関係ないのでここに記すだけに留めておこう。
世田谷区から文句を言っている論者全てに話を広げていく。
仮に百歩譲って、前年度よりも税収が減ったとして、本来インフラ整備などは地方自治体の最も中心に据えるべき事業なのだから税収が1.5%減ろうが6%減ろうがそれ位で地方自治体の中心事業が影響など受けるはずがないのだ。
いや逆に影響など受けてはならない。
もしそれごときで影響を受ける自治体があるのならば、それは普段の予算編成が如何に杜撰であるかの決定的な証左である。
ふるさと納税批判をする地方自治体の首長は、税収流出と言う自らの至らなさを他人のせいにする厚顔無恥な所業を早々に改めるべきである。
彼らの言っていることは、自らの実施すべき仕事を盾に、「このままだとおまえら困るだろ、金をもっと貰わないとやらないぞ」とぼったくりの水道屋みたいなことを言ってるに過ぎないのだ。
基盤インフラを人質とした住民に対する脅迫行為の様な恥ずべき行動は今すぐ止めるべきだ。
ここまででもう十分だろうが、最後に
ふるさと納税批判者の主張③'「受益者負担という地方税の原則に適っていない」
についても考えておく。
これはもう、地方交付税交付金にも全く同じことが言えてしまうのだ。
だから真に論理的に受益者負担と言う観点でふるさと納税を批判する者は、同様に地方交付税交付金も批判せねばならない。
だが、そんなことを言える訳はないのだ。
地方交付税交付金は全国の地方自治体の財政の要であり、現在の地方自治体の財政の屋台骨なんだから。
むしろ地方交付税交付金に依存しない方策の一助としてふるさと納税を位置づける見方もある位なんだからふるさと納税をなくすというのは愚策中の愚策なのである。
<まとめ>
自らの不利益になるからと言って国全体の成長を促す政策にさえ反対をするのは国士のすることではない。
政治家を名乗るならば、自らの狭い利害関係者だけでなく自己が存する日本国という枠組みから未来を見据えるべきである。
また、政治は小学校の生徒会ではない。
原則を杓子定規に合わせれば事足りるような単純な世界ではないのだ。
常に現実課題を直視しつつ、公共的利益を対立・調整・統合して未来を作っていかねばならない。
とまあ、そういう訳でふるさと納税により減収著しいと訴える地方自治体やアンチふるさと納税論者の主張は全くの的外れであり、経世済民に貢献し得ない愚論である。
つまり、自分たちのことしか考えていないしょうもない地方自治体の話やエアプ故郷納税批判論者の話などは一切聞く必要なく、心置きなく我々はふるさと納税をすればよいという訳だ。
もうアンチふるさと納税論者もここまで読んだら、意地を張らずにふるさと納税やっとけ。
ふるさと納税は得しかない制度なのだから。
<本稿は以下の資料を参考にしています。>
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/policy/
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241115/k10014639611000.html
https://s.mxtv.jp/tokyomxplus/mx/article/202407291000/detail/
https://www.city.setagaya.lg.jp/documents/6209/r05bs.pdf
<付言>
ちなみに、ふるさと納税の返礼品を何がいいのかを色々悩む人も多いと思う。
悩んでいる人は野菜定期便一択である。
野菜の返礼品は年に隔月ないしは3ヶ月毎に送られてくる。
東京のスーパーなどではおよそ見ることさえ叶わない様なサイズの新鮮な野菜や珍しい野菜、そして果物を手に入れることができる。
毎日の食卓に彩りができるし、そもそもそれが送られてきただけで1~2週間は野菜関係に困らない。
今は野菜が高いので、野菜定期便があるだけで費用が浮いて家計には大いに助かるはず。
またふるさと納税のサイトはどこがよいかと悩む向きもあると思うが、大手なら大体安心である。
だが、「さ〇ふる」は絶対に止めよう。
事務対応の最悪さは他に類を見ないし、普通に迷惑を被る可能性がある。
あとは「ふ〇なび」、てめーも駄目だ!
ここの事務作業は遅すぎてステークホルダーに害を与えている。
上述2つのサイトにする位なら下記のサイトの方が断然良い。
野菜定期便が充実しているし、野菜以外の肉も豊富に取り揃えている。
何より事務対応に間違いがない。
ふるさと納税をするならココ↓↓↓↓↓↓
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