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「極東ネクロマンス 」について(第6話・ネタバレあり)

ムームーサーバー
https://www.oninkun.com/back-issues-of-kyokuto-necromance
ムームーサーバー

前話までの感想はこちら↑↑↑↑↑↑↑
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<ストーリーと感想・分析>

人質確保の扉絵。
・人質を取ってる死霊に問答無用で攻撃しておいて、人質確保とはこれ如何に?

「してんな、薫!」
「ナイス判断だ」
「よくやった」
・それまで友達みたいな口調だったのに急に兄貴っぽくなるサブカル(天涅 耀司)。
情緒が心配である。

死霊の魂をシシに分けてくれるチタリ。
「よくやった」と誉められる坊主(宇埜 薫)。
サブカル(天涅 耀司)のことをアンマリ普段嘘がない分、ほめられるとうれしいと喜ぶ坊主(宇埜 薫)
・奇妙である。
坊主(宇埜 薫)の中では、大事なことをあえて言わなかったり、黙っていたりする人間も嘘がないと評価するのか。
またそうでなくとも、普段の人付き合いで嘘つきとばかり接しているという解釈になる、表現は。
通常の人間関係において周りが嘘ばかりつくということは坊主(宇埜 薫)は普段全く信用ならない人間関係を構築していることになる。
こいつはおめでたいと同時に可哀そうな奴でもあるという解釈も可能だが、普通に考えるとキャラクターの掘り下げ不足である。

帰ろうとしたら2話前のババアが言い訳混じりにお礼を言ってくる。
「…インチキなんて言ったでしょ」
「でも」
「宙に浮いて、気を失って…ありがとう。」
・「でも」を3連発して、且つ単純接続と逆接の複合技を使うババア。
坊主(宇埜 薫)の「…あんまり普段嘘がない…」の辺りでも思ったのだが、ちょっと全体的に台詞が口語的過ぎやしませんかね。


車に乗ったサブカルが「夕方から夕子(幼稚園で見たおねーちゃん)に会うけど…」と彼氏面して調子こくサブカル。

夕子曰く、
「ネクロマンサー辞めて…」
・あー、やっぱこいつもそれ系か、想定の範囲内ですね。

夕子おねえさんは坊主とサブカルの昔の仕事仲間とのこと。

・会話の中で、「夕子」・「耀司」と下の名前で呼び合うことでお互いの関係を察してよ、みたいな曖昧な感じを出すウザさよ。
通常この会話のやりとりでも、またこれまでのやりとりでも、2人の関係性を坊主(宇埜 薫)が聞かないのは不自然である。
こういう辺りもっとリアルにしてくれれば、気持ち悪いおしゃれ感とともに非リアルな違和感もなくなるんだがな。

夕子から「薫くんは何を聞きたいの?」
と聞かれ、
「親父の死の原因です。」と応える坊主(宇埜 薫)。

夕子によると、龍とかいう史上最大のネクロマンサーの凶行を阻止したのが親父だそうだが、親父はその影響で死亡とのこと。
・相変わらず一枚絵だけは上手い。
残念ながらこの良さがストーリー構成の稚拙さにより全く活かされていない。

親父は龍の力をシシの力と引き換えに封じ込めたのだが、坊主(宇埜 薫)は現在シシを呼び出せている。
ということは、つまり封印されている龍の力が解けたということ。
そして龍が動き出したなら坊主(宇埜 薫)を狙う。
坊主(宇埜 薫)が操っているシシは龍を封印できるほど強力な死霊だから。

サブカル(天涅 耀司)は、かつて龍に対抗しようとした「饗苑」というネクロマンサー集団の面子を集めているとのこと。
・この「饗苑」のメンバーの絵面がハリー・ポッター感出てていいわ。
このあたりちょっと面白くなってきた。
なお親父の座り姿がまんま仙水。
幽☆遊☆白書が好き過ぎである。

そんなこんなで夕子先生の姪っ子の倉敷翠登場である。
坊主(宇埜 薫)の教育係を務めるとのことで終わり。

・最後の1個前のコマのセリフ回しとかはマジで分かりにくい。
「夕子に協力…」って言ってるのはサブカル(天涅 耀司)だろうけど、動線的に倉敷翠が喋ってるように見える。
こういう何人もキャラクターが登場するコマのセリフ回しは、誰が喋っているかをはっきり分かるようにすべきなのに、この絵のせいで分かりにくくなってる。

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<今話における違和感>
今週も読み進めていく上での違和感が複数あったので挙げる。

違和感その①
夕子先生が死霊に害されていないにもかかわらず、通常通り幼稚園に出勤しているという事実。
坊主とサブカル2人が幼稚園に来たときに、死霊が2人が歩いているのを見て「こいつらネクロマンサーだな、ネクロマンサーは魂が旨い、エーテルも濃いし」と、ネクロマンサー=御馳走のような表現をしていた。

ここからわかることは2つ。
・死霊は姿形から魂的な質(旨さや強さ)などを判断できる。
・ネクロマンサーの魂が旨いということは、いわゆる魂的な質と強さ(字義通りの実力)はある程度比例関係にある。
ということだ。

これを踏まえると、夕子は引退したとはいえ元ネクロマンサーなのだからさぞ魂は上質であるはずである。
そして、ここで死霊と夕子、またこれまで登場したキャラクターの魂レベル(=強さレベル)を序列立てた上で、場合分けをしてみる。
夕子の魂レベル(=強さレベル)に焦点を当てると3分類できる。
A.死霊>夕子の場合、B.死霊≒夕子の場合、C.死霊<夕子の場合
そうすると、以下のようになる。
(子供とサラリーマンの序列に関しては、死霊が子供の魂はまずいと言っていたことから便宜的にサラリーマンよりも下にした。)

A.死霊>夕子の場合
<魂レベル図:(=強さレベル)>
死霊

夕子←←ココ

サラリーマン

子供

B.死霊≒夕子の場合
<魂レベル図:(=強さレベル)>
死霊≒夕子←←ココ

サラリーマン

子供

C.死霊<夕子の場合
<魂レベル図:(=強さレベル)>
夕子←←ココ

死霊

サラリーマン

子供

A.の場合は、死霊の方が夕子より強いので、死霊からすると元ネクロマンサーなんて御馳走になる訳だから、夕子はどうしても害されてしかるべきと判断される。
B.の死霊と夕子の実力が近い場合とC.の死霊よりも夕子の方が強い場合は、A.とは異なる結果になる。
死霊が即座に逃げているはずである。
何故ならこの死霊は、サブカル(天涅 耀司)の様な強いネクロマンサーを見て、すぐ逃げようと画策するくらいの用心深い死霊なのだから。

こう冷静に考えると、夕子が害されないで且つ通常通り幼稚園に出勤しているということはあり得ないのだ。

フォローとして、「引退したから魂レベルは一般人だが死霊を見る力は一般人よりはあったので、死霊からの危機を脱していた」と仮定してみても、やはりおかしい。
夕子が明らさまに死霊からの危機を脱していたとすると、いずれ夕子から死霊を退治するネクロマンサーに繋がる可能性が出てくるという予想が普通は働き、この死霊なら早々に幼稚園から逃げ出すはずだからである。
(霊現象に悩まされている場合、専門の霊能者に依頼をすることは現実世界でもよくある話である。)
(またこの死霊は言葉をしゃべる位知能が高く、2人のネクロマンサーが来た時に逃げるか残るかの判断をして位知恵が働き且つ用心深いのだから、上述の様な未来を推量することはなんらおかしくはない。)


違和感その②
夕子が元ネクロマンサーなはずなのに、子供達がいなくなった時に彼らの居場所が分からなかった理由。
どう考えても死霊が絡んでいるのだから死霊の近くにいると考えるのが当然の発想である。
にもかかわらず、場所も分からないと喚き出す始末。
再度のフォローとして、「(元)ネクロマンサーは指環をしないと死霊を見る力は一般人と変わらなくなる」と仮定しても、幼稚園の死霊現象については夕子が詳しく知っているとババアから評されるエピソードとは矛盾してしまう。
元ネクロマンサーが子供達の居場所が分からないという状況にはなり得ない。


違和感その③
坊主が一番知りたいこととして挙げた内容が親父の死の理由といった所。
本当に知りたいならさっさとサブカル(天涅 耀司)に聞くはずである。
以前は、サブカル(天涅 耀司)から「父親の死の真相についてはサブカル本人の主観が入るかも」と言われると、「ネクロマンサーやっていればいずれ分かるから良い」みたいなこと言っていたのに。
一応夕子に説明させるのは、資料を以てという言い訳をしているが、結局資料を用いても話すのは夕子なのだ。
何故夕子の話からは夕子本人の主観が入ると思わないのか。
夕子の話は伝聞の一つとして聞いて、他の人の話なども総合して判断するという考えならば、やはりサブカル(天涅 耀司)の話は聞いておいた方がいいと判断するはず。
矛盾である。

やり取りや行動の一つ一つに必然性を感じさせることができないというのはこの作者の典型的な弱点である。
だが、作者が完璧ではないのは世の常なので、フォローを編集者が入れるというのが本来の役割である。
だがこの辺りのノーフォローには編集者の怠慢を感じさせる。
「編集よ、ちゃんと仕事しろ」と言いたい。


なお龍について、今更になって坊主(宇埜 薫)に話すというサブカル(天涅 耀司)の行動の遅さも一瞬気になったが、元々坊主(宇埜 薫)は只サブカル(天涅 耀司)に守られるだけっていう話だったから、敢えて言わなかった可能性もあるからまあいいとした。


<まとめ>
この作者が向いているのは青年誌向きの漫画である、それも月刊とかの。
月刊の青年誌なら、饗苑のメンバーの様な丁寧な絵や、規制の緩いダークファンタジーを描く上でも力を存分に発揮できると思う。
締め切りが月1なら設定もよく練ることができるだろうし。
今回は、残念なことにアンケート至上主義のジャンプで連載しているが故に、人気を気にして丁寧に描くべきところを軽く流してしまうことで、キャラの杜撰な行動心理や設定の粗さが目立ち、悪い結果が導かれている。惜しい。

あと向いてるジャンルの話をすると、日常系とも良さそう。
設定をそんなに気にしなくていいし、ポップ絵のときとかは結構かわいらしいし。

毎回酷評ばかりになってしまって残念なのだが、絵は魅力があるし、あと「饗苑」のメンバーの辺りは今後が楽しみになってきた。
打ち切りに負けない様に頑張ってほしい。
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ムームーサーバー

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