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自己啓発本を読むなら、その泰斗である自助論をぜひ読むべし

 世の中には自己啓発本といったものが数多くある。有名著作は数あれど、その中でも、デール=カーネギー『人を動かす』、ナポレオンヒル『思考は現実化する』は二大巨頭であろう。私も十代の学生の頃、父親の本棚にこれらの著作があったので読みました。

これらの著作は非常に素晴らしい出来だ。非常に素晴らしいと思いつつも、どこか腑に落ちない思いがあった。読後はいつも「何かを言っているようで結局何も言っていない」ような気がしてならない。まるで誘蛾灯に集まる蛾の様なそんな虚しさ。

というのも、読んでいく中で語られているのはひたすら、「目的にためには、自分の自尊心を捨てて何を言われても相手が満足するように計らいなさい」というような言うは易し行うは難し感、「目的のためには自分の価値観さえも捨てる必要がある」ような本末転倒感を催してしまう。

我々がしたいのは価値観を大事にしつつ目的を達成したいのだ。

こんな気持ちにこたえることができるのが、「自助論」である。

自助論こそは、原点にして頂点である。

自助論とは、イギリスの作家サミュエルスマイルズにより18世紀に著されている。日本には明治初頭に中村正直により「西国立志編」として紹介され、福沢諭吉の「学問のすゝめ」とともに当時大ベストセラーを記録し、近代日本の若者に多くの指針を与えた。

この本の特徴は、数多くの自己啓発書に書かれている様な小手先のhow toは書かれてはいない。本書冒頭のHeaven helps those who help themselves.(天は自ら助くる者を助く)から始まる「自助の精神」の必要性を、過去の偉人のエピソードをこれでもかこれでもかど紹介することで、滔々と訴えかけてくる。それらを読むだけでも面白い。またまめ知識も豊富である。

例えば、地動説でおなじみのコペルニクスは元々パン屋のせがれだったとか、ニュートンの飼い犬のせいで貴重な書類がゴミになってしまった話、フランス革命を著したトマス・カーライルという人が自分が書いた『フランス革命』の原稿を友達に貸したら、友達の召使が反故紙と間違えて、全部暖炉に放り込んだ話などのトホホ話もトリビアである。ちなみにカーライルはその後、一生懸命内容を思い出しながら改めて『フランス革命』を書き直したとのこと…。

様々な偉人のエピソードをシャワーのように浴びることで、文字を通じて頭だけでなく身体にまで理解させられる感じがある。これ一冊で自己啓発本が言っていることをほぼ全て網羅している。

自己啓発書は、多くの人を惹きつける。今現在うまくいっていない人、今から10年後に薔薇色の人生を送りたい人、物事に熱中できるのは楽しい。燃え盛るような野望や情念、そんな青春に燃えた人々にはまさに光り輝く天啓の書に見える。これは、人生のどこかで経験する、ある意味麻疹のようなものなのかもしれない。みんな経験する。

だからどうせ麻疹を経験するなら、タイパを重視して飛び切り良いものを経験しよう。

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